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[真説 トイレの神様]

一

僕にまだ毛も生えてない頃
うちにはおじさんが住んでいた
お父さんは仕事で留守勝ち
だからおじさんとよく遊んでた

いつも働いてなかったのは
あの頃は学生だったから
お昼から酒びたりだったけど
トイレ掃除だけはするおじさん

トイレには神様がいるのさ毎日きれいに磨いていたら
神さまは必ずご褒美にお金を沢山くれるのさ
「撥ね飛ばしたら即拭きなさい」

二

お父さんはよく怒鳴っていた
居候にやる酒はもうないと
最後には二人とも酔っ払って
一つの布団に転がった

お母さんはよく悪口を言った
早稲田に行ってもあれではね
おじさんは何を言われても
笑っていたのは酒のせいか

トイレには神様がいるのさ毎日きれいに磨いていたら
神さまは必ずご褒美にお金を沢山くれるのさ
「撥ね飛ばしたら即拭きなさい」

三

ある朝おじさんは僕を呼び
掃除の仕方を伝授した
ブラシと洗剤の手加減
水と雑巾の手加減

「おじさんはお酒はひどいけど
毎日毎日磨いてんだ」
正月に僕にだけこっそりと
耳打ちしたよ臭かった
お年玉をくれたことはない

四

卒業して何年目かの春に
うちからおじさんは出て行った
なかなか結婚もしないうちに
広いマンションを買ったらしい

僕にも毛が生えて十年
一人暮らしを始めた
煙草のヤニまみれのカーテン
トイレだけは綺麗ねと彼女が言った

トイレには神様がいるのさ
毎日きれいに磨いていたら
神さまは必ずご褒美に
お金を沢山くれるのさ
君も使うときは気をつけて

五

おじさんのことは忘れてた
身体を壊したはと聞いていた
僕は僕の未来に燃えていた
弟には子供も出来ていた

お父さんはいつも悪口を言った
どうしようもない人間だ
お母さんはいつも悪口を言った
早稲田を出てもあれではね

どうしてだろうか人は
ケチとも言われない人でも
何よりお金が頼りだと
つぶやく夜があるのさ
「お金さえあれば生きられる」

六

警察がおじさんの死を告げた
一番近い身寄りの我が家へ
異臭にお隣さんが気付いて
我慢しきれず通報した

お父さんがおじさんを確認した
八月におじさんは腐ってしまった
婦警さんがお母さんを引き止めて
見ないほうがいいですと言った

人には良い所悪い所
あるものと親は常々言った
それなのにおじさんのことだけは
一度も褒めたりしなかった
死ぬまで一度もなかった

七

部屋の片付けの為に初めて
3LDKを訪れた
ゴミと空き缶だらけの家なのに
トイレだけは綺麗だった

片付けものの一番下から
預金通帳が出てきた
八桁を超える預金と
マンションが彼の遺品

おじさんの携帯電話には
久しく着信もなかった
最後に癌と酒盛りを
毎晩続けてみたんだね
死ぬまで続けてみたんだね

八

3LDKが無事売れて
預金は兄弟が分け合った
残った親族はみんなみんな
沢山のお金に恵まれた

おじさんは神様になった
毎日きれいに磨いていたら
神様は必ずご褒美に
お金を沢山くれるのさ
おじさんは神様になった

「撥ね飛ばしたら即拭きなさい」

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