すれちがいの図書室
ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています
あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら
「あれ、えーっと、宮野くん?」
あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない
なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして
ぼくの名前を知ってるの?図書室に入らないの?
すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・
同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら
不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる
いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに
なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして
ぼくの名前を知ってるの?図書室に入らないの?
すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・
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