おつり


ある朝でした あれからでした
通勤駅の売店に寄り
煙草を買っておつりをくれた
コバヤシさんと目が合いました

面食いなんておこがましくて
身の程なりの人生でした
コバヤシさんの手に触れたくて
千円札を使うのでした

この手のひらとその指先が
ふれるすれるこすれる時に
人は何かを交わすのですね

通勤だから毎日通る
セブンスターを毎日買って
いつからでしょうお金を出すと
セブンスターが差し出されます

千円札は大きすぎると
私はやがて気がつきました
ちょうど良いのは五百円玉
おつりとあわせ二回のチャンス

その手のひらとこの指先が
ふれるすれるこすれる度に
人は何かを交わすのですね

細かくなってごめんなさいと
百円玉が七つもあって
ざらざらざらと注がれたのは
嬉しいような悲しいような

この手のひらとその指先が
ふれるすれるこすれる時に
その手のひらとこの指先が
ふれるすれるこすれる度に
人は何かを交わすのですね

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