無残の国
もちつもたれて繰り暦
風の彼方に置き土産
うたも心も永久の
忘れ形見となりにけり
ああ時間よとまれ または私よとまれ
移ろうものに囲まれて
火照った指で何残す
一夜明ければ泰平の
時計仕掛けの旋風
明けてしばしの日の本で
夢は屍となりにけり
ああ時間よとまれ または私よとまれ
濡れ手に粟に憧れて
一夜の夢を酔い潰す
模して絡げて散々に
消えた費えたし尽くした
積もる塵まで敷き詰めて
無残の国となりにけり
ああ暮れては明けて そして明けては暮れる
増えて殖やして余らせて
無残の国となりにけり
涸れてはたいて冬枯れて
無残の国となりにけり
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